ココア
カノジョ
「何だか、順調そうじゃないですか」
茶化すように恵美がそう言った。
いつもの二人のお気に入りの居酒屋で飲みながら、西原くんとのことを恵美に話した。
お父さんのことは、まだオブラートに包みつつ、だけど。
「順調、なのかなぁ?自信ないけど」
枝豆を口に放り込みながら、溜息をつくように答えた。
自信なんか、これっぽっちもない。
だって─
「だって西原くんは、みんなに優しいからさ…」
「確かに西原は誰にでも優しいけど、実はそうじゃない気がするんだよね」
「そうなの?」
「あいつの中に基準があって、それに基づいて優しさが生まれてる気がする。だから、誰にでも同じだけ優しいって訳じゃないんだよ」
西原くんと恵美は中学の時からの付き合いだから、分かることもあるのかもしれない。