ココア
西原くんを見上げた私は、どんな顔をしていたのだろう。
私を見た彼の表情が一瞬だけ変わった。
でも、それはほんの一瞬で、すぐにいつもの彼に戻った。
その表情の変化さえ、私の胸を苦しくさせる。
─トモダチ、でいいって思ってるのに
「雨の中、ごめんね。仕事で疲れてるのに」
「いーよ。明日休みだし、家に帰って一人で飯食うのもなんかなって思ってたから」
「仕事、どう?少しは慣れた?」
「キツいんだよ、これが。でもさ、イヤじゃない。だから、やってけると思う」
そう言って笑う西原くんが、私はすごく愛おしい。
恋しい。
今日、私たちが来たのは半個室になっている、割と静か目な居酒屋。
いつもより静かで明かりが控えめな雰囲気に、私も西原くんも溶け込めてないように感じる。