ココア
彼にとっての最愛の人の話、それを一心に耳を傾けて聞いている私。
滑稽に見えるだろうけれど、、、
それも、私の
【愛の形】
報われないとしても。
「毎日が楽しくてさ、ほんとに幸せだった」
そう話す西原くんの顔は、本当に幸せそうで─
なのに、消えてしまいそうな儚さをそこに感じた。
「そんな毎日がずっと続くと思ってた。
でも、それはあっさり壊れたんだ。彼女が─、陽子が倒れた」
一瞬だけ顔を歪めたけれど、すぐにまた穏やかな表情に戻る。
そんな彼に、私は何を言えばいい…?
「脳腫瘍、だった」
「西原くん…」
その時、時間が凍った気がした。