ココア



彼にとっての最愛の人の話、それを一心に耳を傾けて聞いている私。


滑稽に見えるだろうけれど、、、

それも、私の

【愛の形】

報われないとしても。


「毎日が楽しくてさ、ほんとに幸せだった」


そう話す西原くんの顔は、本当に幸せそうで─


なのに、消えてしまいそうな儚さをそこに感じた。


「そんな毎日がずっと続くと思ってた。
でも、それはあっさり壊れたんだ。彼女が─、陽子が倒れた」


一瞬だけ顔を歪めたけれど、すぐにまた穏やかな表情に戻る。


そんな彼に、私は何を言えばいい…?




「脳腫瘍、だった」


「西原くん…」


その時、時間が凍った気がした。





< 137 / 247 >

この作品をシェア

pagetop