ココア
胸を揺さぶられるような彼の告白。
私が彼に、そんな悲しい話をさせているのだ。
「病気はどんどん進行した…
「もう、いいよ!」
声を上げて、彼の話を止めた。
止めたかった。
「もう、いいよ。それ以上話さなくていいよ。
……ごめん。ごめん…なさい」
興味半分で聞いていた訳ではないけれど、もうこれ以上、彼に話させるのは出来ない。
「いや。いいんだ」
驚くほど穏やかな声で、彼がそう言った。
「話したいんだ。
倉野に、…聞いてほしいんだ」
「…西原くん……」
「話させて。こんな話で悪いけど」
悲しくなるくらいの優しい西原くんの笑顔に、目の奥が熱くなる。
「─うん…」
今はそれしか言葉に出来なかった。