ココア



胸を揺さぶられるような彼の告白。


私が彼に、そんな悲しい話をさせているのだ。


「病気はどんどん進行した…
「もう、いいよ!」


声を上げて、彼の話を止めた。
止めたかった。


「もう、いいよ。それ以上話さなくていいよ。
……ごめん。ごめん…なさい」


興味半分で聞いていた訳ではないけれど、もうこれ以上、彼に話させるのは出来ない。


「いや。いいんだ」

驚くほど穏やかな声で、彼がそう言った。


「話したいんだ。
倉野に、…聞いてほしいんだ」


「…西原くん……」


「話させて。こんな話で悪いけど」


悲しくなるくらいの優しい西原くんの笑顔に、目の奥が熱くなる。






「─うん…」


今はそれしか言葉に出来なかった。





< 138 / 247 >

この作品をシェア

pagetop