ココア
「西原くんね、帰ってきたら連絡してくれるんだって」
「ほー、案外、麻梨に気があったりして」
「…んん、それは…ないよ」
それ位分かる。
分かる、けどでも。
どこかで“もしかして”って、期待してる私がいるのも確かだ。
私の想いを見透かしてか、恵美は少し困ったような顔をする。
「前のオトコと別れてどれくらいだっけ?」
「一年半、くらいかな」
「次、行っとこうよ。麻梨も私も、もう26歳なんだしさ」
…分かってる、恵美の言いたいことは。
いつまでも片想いの人の影を追いかけてる私が心配なんだ。
私も分かってる。
西原くんへの想いは叶わない。
たぶん、きっと。
想いを伝える勇気さえ、私は手放してしまったのだから。