ココア



鼻をすする私に、何度も“俺は大丈夫だから”と繰り返す。


大丈夫じゃないのが、痛いほど伝わってくるけれど。


役に立てなくて、彼の気持ちを楽にしてあげられなくて、そんな自分が情けなくて…。


こんな風に簡単に泣いてしまう私だから、頼れないのだろうか。


でも─、西原くんの痛みを思ったら涙は溢れてきてしまう。



「なんか、今日は酔えないな」


呟く彼の声は、低く低く消え入りそうだった。


「ごめんね。呼び出して、辛い話させて。
私…、メグからメール来て、もう…心配で気になって」


「いいんだって。誰かにいつかは聞いてもらいたかったし。
それが今日だっただけだよ。
なんか、ネパールで電話を掛けてからお前とはタイミングが合うな」


「タイミング、あ─、そうだね。合ってるのかも」


「陽子、、、かな。倉野とタイミング合わせてくれてるの」


─え…?





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