ココア
寒がりな萌が、マフラーをクルクルと首に巻いていく。
そんな萌に、心の中で感謝の言葉を言った。
「ね、ニシハラくんは、ヨウコさんのこと忘れてないんでしょ?」
「うん。生涯唯一の愛する人、だって」
「麻梨の入る隙、あるのかなぁ。無理やりこじ開けて入っちゃう?」
「それは…、出来ないよ。私じゃたぶん無理」
んー、と眉間に皺を寄せて、萌がアレコレと提案してくれるけれど。
きっと、どんなことをしたって、私が西原くんの心に入り込むなんて出来ない。
陽子さんの話をした時の彼の顔が、それを物語ってる。
「やっぱ、ニシハラくんのことは諦めた方がいいと思うけどなぁ」
行き着いた結論を押しつけるわけでもなく口にする、萌の心配顔。
言葉にしてみると、急に現実味を帯びる【諦めの決意】
どう…したらいいんだろう。