ココア
駅で萌と別れた。
「とにかく飲み会には参加しなさいよ、じゃまた明日ね」
そう帰り際に言い残して。
「飲み会かぁ、気が重いなぁ」
一人歩く帰り道、思わず口に出して呟いていた。
ポツ、と滴が頬に当たった気がして空を見上げると、雨が降り出してきていた。
アパートに帰り着いた後、雨は本降りになっていた。
今年の11月は良く雨が降る。
いつも、この季節ってこんなに雨降っていたっけ。
窓の外の雨を、ほんの少し不安な気持ちで眺める。
夜に降る雨は一番苦手。
夜の雨はいいようのない不安さえ感じてしまうほど。
あの日から─、
陽子さんの話を聞かされた日から西原くんからの連絡がない。
もう、2週間になる。
そういえば、あの日も雨が降っていたっけ─。