ココア
絶え間なく窓を打つ雨音。
弱まるどころか、更に強く振り続ける。
こんな日は、早めにお風呂に入って寝てしまうに限る。
余計な不安が入り込まない内に。
いつもより熱めの温度のお風呂に入り、バスタオルを巻いたまま何となくケータイに手を伸ばした。
─ん?あれ、西原くんからだ
着歴に残る西原くんの番号、30分くらい前にかけてきたみたいだった。
すぐにかけ直したけれど、出る気配がない。
時間は23時過ぎ。
今夜はいつもより早めに寝るつもりだったのに、ベッドの上で丸まって本なんか読み始めてしまった。
すぐそばにケータイを置いて。
何となく、
何となくだけれど、感じたのだ。
西原くんが私を呼んでいる、そんな小さな気配を。