ココア
私の中で、彼が発する微かな信号を感じた気がした。
その時、ベッドの上のケータイが震えだした。
─! 西原くん、だ
「もしもし?」
「───。」
「西原くん?」
「───ぉ、倉野?」
なにか、いいようのない苦しい想いがこみ上げてくる。
「どうしたの?何かあった?」
陽子さんの話を聞いたせいか、彼の行動が心配になってしまっている。
「あ―…、倉野居たんだ。良かった。…っく」
少し、様子がオカシイ。
気にし過ぎ、なのだろうか?
泣いてるように…感じられた。
「どうしたの?西原くん、今、家?」
「…違、うよ。家じゃ、ない」
時々聞こえる車の音から、明らかに外からかけているのだと分かる。
「どこ?──ねぇ、大丈夫?」
「今、お前ん家の近く。場所…分かんなくなっちゃってさ」
え?家の近く…?