ココア



頭からシャワーを浴びたようにずぶ濡れで、髪の毛からは雨の雫が滴り落ちている。

着ている服全て、びしょびしょに見えた。



「どうしたの?どうしてそんなにびしょ濡れなの?」


「あ、うん。傘忘れ…
「なんで?こんな時間にびしょ濡れで…ねぇ、なんで?」

「…倉、野?」

「なんで、一人なの?」

「─…。」

言葉が溢れて止まらない。

「なんで、大丈夫だって言うの?
なんで、みんなには優しいのに自分のことは一人で背負い込むの?」


「──。」


「なんで、なん、で…。ね、、、」


「─倉野、ごめ…」


「なんで、泣いてるの」


「倉野!」


強い語気に、ハッと彼を見る。


「泣いてるのは、お前─だろ?」






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