ココア
泣いてるのは─私?
気がつけば、私の頬を涙が幾筋も流れていた。
熱い痛みを持つ喉に、自分がどれほど泣いていたのか気づく。
「あ…。私、あれ…もう、なん、で…」
「倉野」
「ご、ごめん。…ごめ……───っ!!」
何が起きたのか、一瞬分からなかった。
クラリと、目眩にも似た胸の揺らぎだけ、感じていた。
手にしていた傘が、開いたまま、ポトリと地面に落ちる。
ぎゅうっとした苦しさ
西原くんが、私を強く強く抱きしめていた。