ココア
その表情に戸惑い、何を返していいか分からず、私も彼の側にペタリと座り込んだ。
「誰も…、誰もいないってことないでしょ」
「誰も、いないんだよ。ほんとにさ」
自嘲気味に笑って答える。
「だって、西原くんあんなに友達多いのに。私、いつも羨ましかったくらいだよ」
「いくらでも仲良く出来るよ、仲間だっていっぱいる。
でも─」
「でも?」
「ほんとに頼れる奴は、、、親友はいない」
あまりにもキッパリ言う西原くんの横顔は、不思議と寂しそうには見えない。
それを当たり前のものとして受け入れてる、そんな感じだ。
「だから、俺には陽子だけだったのかもしれないな」
そう言うと、とても穏やかな顔でココアを口にした。