ココア
今日なら、
今なら言える気がした。
心が繋がれた、そんな瞬間を感じることが出来た今だから。
「私もね、お父さんのこと誰にも言えなかった。
あの当時、泣くほど辛かったのに、友達の前では笑ってた。
たぶん、心のどこかで恥ずかしいと思ってたのかもしれない。お父さんとのこと」
「─うん」
「でも、西原くんに聞いてもらったでしょ?
あれから、ほんと体の力がスーッと抜けたように楽になったんだ。
今までガチガチに固まってたのが、解けたって感じ」
「俺、ただ聞いただけだよ」
「うん。でもね、それが私にとってスゴく救われたんだ」
「大袈裟だな」
「大袈裟じゃないよ、ほんとのことだもん。
ただ黙って聞いてくれてる、てことは受け入れてくれてるんだな、って。私はそう思ったんだ」
そう、西原くん。
ずっとこの気持ち、伝えたかったの─。