ココア
陽子さんの心の底からの叫び。
それは私たちを動けなくしてしまった。
「元気になりたい、て…。また元気になりたいって言葉が離れない。
離れないんだ」
「…西原くん……」
「俺さ、好きなんだ。
まだ陽子が好きなんだ。
一人になるくらいなら、陽子の後を…って」
「…や……っ」
「毎日こんな苦しいんだ、耐えらんないよ」
「やだ…だめ。そんなのだめ……だよ」
西原くんの心の奥が少し見えた気がした。
それは、驚くほど深くて暗い。
私は、彼を守れるのだろうか。
今はただ、心から零れる言葉を伝えることしかできなかった。
「…もう消えたいんだ」
「お願い、…そんな風に言わないで……」
私たちは届かない想いを持つ者同士、
この部屋にお互いの声に出来ない悲鳴が降り積もっていた。