ココア
また一口、ココアを飲んで“甘い”と苦笑いをする。
「ネパールに行ったのってさ、陽子が行きたがってたのはホントだけど。
でも、俺、きっと逃げたかったんだ」
「逃げ、る?」
「そう。日本にいると陽子の思い出とホントに心中したくなって、、、
で、仕事も辞めてネパールに逃げたのかもしれない」
「……そんな…」
「ネパールをフラフラして、適当に旅して、で具合悪くなって」
「それで私のとこ、電話してきたんだっけ?」
「うん。何かがお前を呼んだのかもしれないな」
─それは、陽子さんなの?
陽子さんが私を?
「きっと、、、お前と会わせたかったのかもしれないな」
どうして、だろう。
どうしてそう思うのだろう。
私なんて何にも出来ないのに─。