ココア



ピークを過ぎたのか、雨の音がだいぶ小さく聞こえる。


立てた膝に顔を埋めるようにして泣く西原くん。

そんな彼のそばに、ただいることしか出来ない私。

でも。

今はそれでいい。

彼が泣ける場所であるのなら、それでいい。


小さく漏れるように聞こえる涙混じりの息づかい。


こんな時こそ、強く雨が降って欲しいのに。

泣き声を気にせず泣けるほどに強く。





西原くんのそばに置かれた、ココアが半分残ったマグカップ。

それを手に取り、また温かなココアを作り直し、彼のそばにそっと置いた。

今度は砂糖もミルクも控えめにして。





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