ココア
きっと─。
西原くんは、【誰か】に言って欲しかったのかもしれない。
“陽子さんを好きなままでいい”
と。
そして、彼女の前から逃げてしまった自分を、【誰か】に知ってもらいたかったのだと…思う。
それは私の推測でしか、ないのだけれど。
ペタリと座りこんで、自分にも作り直したココアを飲む。
温かな液体が、体を通っていくのが分かる。
私の体を満たす、適度な甘さと温かさ。
西原くんにとって、そんな存在になれたらいいのに、と強く強く想う。
外をぼんやりと眺めながらそんなことを想っていると、西原くんの声がした。