ココア
「わ、もう3時じゃん。明日仕事だろ?早く寝よ」
「ん。じゃぁ…電気消すね?」
「あのさ」
「ん?」
部屋の電気を消し、布団に入った私に西原くんが話し掛ける。
「んー、や、その…
あ、、、うーん」
西原くんらしくないもごもごとした口調。
「何?“シンユウ”に何でも話してみ?」
「あのさ。今日、ほんとは倉野に全部話すつもりで来たんだ。酒飲んで勢いつけてきたけど」
「─。」
「…お前に、頼りたくなった…」
「…えっ?」
「おやすみ」
西原くんは、そう言うとガバッと布団にくるまった。
暗くなった室内に、急に訪れた静寂。
窓の外を見ると、雨は止んでいて、雲の切れ間からは月が覗いていた。
あんなに土砂降りだったのに…
ほんとに、雨はいつか止むのだ。