ココア



『お前に頼りたくなった』


さっきの西原くんの言葉が、心臓を揺さぶる。



誰かに笑われても、

バカにされてもいい。


それでもいいの。

抱き締め合うことがあっても、それはお互いを支えるため。


そんな想いの形もある。

そんな形無かったとしても、これから私が作る。

私は決めたから。






やがて、規則正しい寝息が聞こえてきた。

少し体を起こし、彼の寝顔を見る。

長い睫、
茶色がかった髪、
規則正しく上下する胸。



 愛しいよ

 すごく、すごく



「…好き、です」



小さく小さく呟いた。

神様にも聞こえないように。

私から西原くんへの、最初で最後の告白。

西原くんに聞こえない告白。


暖かな雫が頬をつたう。


その雫も、
切ない想いも、
全て飲み込むと決めた

切ない夜はもうすぐ明ける。





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