ココア



鍵を取り出しドアを開けると、シンと冷えた部屋が私を迎える。


昨日、西原くんがここにいたことがまるで夢だったように感じる。

寝不足でボーっとしている私が見ている夢のように。


ガチャリとポストを開けると、スペアキーがあった。



夢じゃ、ない



ぎゅうっと両手でスペアキーを握り締め、胸にあてる。



部屋に入ると、畳まれた布団の上に、不器用に畳まれたスウェット上下が置かれていた。


そして、その更に上にメモ書きが置いてある。





  倉野へ

 昨日は突然来た
 のに、泊めてく
 れてありがとう

 話聞いてくれて
 ありがとう
 倉野だから、話
 せたんだと思う
 
 これからも
 よろしく頼むな
 親友!
 (恥ずかしいか
 もう二度と言わ
 ねー!)


    西原


    』





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