ココア
26歳になった私たち。
西原くんと再会して、私は生まれて初めての感情にいくつも出会った。
そして、自分がこんなにも泣き虫だってことも分かった。
かけがえのない人。
大事な人。
これから、西原くんにとって私がそういう存在になれればいいのに。
せめて彼の親友として───。
「…っくしゅ!」
「麻梨、風邪?」
「ん…、ちょっとダルイ、かな」
「わ、熱あるんじゃない?顔色悪いよ」
事務所のソファに座らされ、萌が佐久間さんを呼んできた。
そして、そのままバタバタと早退させられてしまった。
─確かにちょっとキツいかもしれない。
近くの小さなクリニックで診察をしてもらって、なんとかアパートまで帰り着く。
その頃には、少し、フラフラ、フワフワした感覚が私を覆っていた。