ココア



検査の結果、インフルエンザの陽性反応。

特効薬だと言うカプセルやその他の薬を調剤薬局で受け取り、ふらつく足取りでアパートに戻った。


冷えている部屋のドアを開け、もぞもぞとベッドに潜り込む。


─あ、そうだ。メグに連絡入れなきゃ


今日、恵美と会う約束を思い出し、ぼーっとする頭で『ごめんね』のメールを送った。

そして、そのまま意識が途切れ、いつの間にか深い眠りへと落ちていた。







 ピンポーン

玄関のチャイムで目が覚めた。


どのくらい眠っていたのだろう。

熱のせいでふわふわする体を起こし、玄関のドア越しに声をかけた。


「は、い…」

「あ、俺。西原」


─え?

ガチャリとドアを開けると、寒そうに身を縮めながら西原くんが立っていた。


「インフルエンザだって?看病に来てやった」


西原くんは、口調とは反対の優しい顔で笑った。





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