ココア
「…おいし、かった」
「だろ?俺は料理も出来ちゃう男なんだ」
食後、また薬を飲ませてくれて、布団に寝かされた。
「お。これ、な」
タオルにくるんだアイスノンを頭の下に敷き、おでこには冷却シートを貼ってくれた。
いつも、パチパチと意地悪におでこを叩く時と比べものにならないような優しい指で。
「…つめた。でも、気持ちいい…」
「もう、寝ろ。俺ももうすぐ帰るから」
「帰っちゃう、の?」
自分でもびっくりするくらい甘い声。
意識して出してるわけじゃない。
私の本心、なのだから。
「ん。明日、仕事だし。寝て起きたら、お前も熱下がってるよ。大丈夫」
もそもそと布団から手を出し、西原くんに向かって弱々しく伸ばす。
「…ありがとね」
西原くんは、すごくすごく優しい顔で、私の手をきゅっと握ってくれた。