ココア
「なに、してるの?」
びっくりして振り向く。
あまりに夢中になり過ぎて、後ろに人が来たことさえ気づかなかった。
そこには同じ高校の制服を着た男の子が立っている。
「あ…、あ、四つ葉のクローバーを探してるの」
なんか、間の抜けた答えになっちゃったな、なんて思えて言った後恥ずかしさが襲ってくる。
「へー、四つ葉のクローバーか。懐かしいなぁ」
恥ずかしがる私の横に、その男の子も座る。
彼の行動が予想外で、びっくりしてる私を余所に彼はそのまま四つ葉を探し始めた。
びっくりし過ぎて固まってる私に、彼が笑いながら声をかける。
「せっかくこうしてサボってんだし、四つ葉見つけようよ」
その柔らかい笑顔に、胸の奥の方がトクンと波打つ。
そうして、私は知らない男の子と二人、四つ葉のクローバーを探し始めた。