ココア
公園の一角に敷き詰められているクローバー。
そこにしゃがみ込んで四つ葉を探す彼を、横目で時々覗き見る。
制服がまだ新しい感じがしたから、たぶん、同じ学年だろう。
見かけたことがないし、ウチのクラスではない。
色が白くて、華奢な感じさえする線の細い人だ。
だけど、ひ弱そうな感じゃない。
私はいつしか彼に気を取られていた。
「見つかった?」
ふいに声をかけられて、思わず目を伏せる。
彼を見ていたことを悟られまいと、下を向きながら首を振って答えた。
「んー、ちょっと休憩」
彼はそう言って腰を下ろした。
5月の風が二人の間を吹き抜けていく。
どうして、この人は面識もない私と一緒に探してくれてるんだろう…?