ココア



その疑問を投げかけようとした時、彼が声を上げた。


「あった!!」


「ほんと?」


彼が手を着いたすぐ横に、小さな四つ葉のクローバーが確かにあった。


「俺、四つ葉見つけたの初めてかも」


子供のように無邪気に笑って、私を見る。

私の胸の奥が、また揺れた。



彼は、その四つ葉を大事そうに摘んだ。


小さな四つ葉を摘む彼の指は長くてキレイで。


男の人の指に見惚れてしまったのは初めてだった。


何だか、私、彼に見惚れてばかり、かも…。


それに気付き、赤くなる自分が恥ずかしくて私も四つ葉を探すフリをする。



そんな私の前に、小さな四つ葉が差し出された。





< 23 / 247 >

この作品をシェア

pagetop