ココア
その疑問を投げかけようとした時、彼が声を上げた。
「あった!!」
「ほんと?」
彼が手を着いたすぐ横に、小さな四つ葉のクローバーが確かにあった。
「俺、四つ葉見つけたの初めてかも」
子供のように無邪気に笑って、私を見る。
私の胸の奥が、また揺れた。
彼は、その四つ葉を大事そうに摘んだ。
小さな四つ葉を摘む彼の指は長くてキレイで。
男の人の指に見惚れてしまったのは初めてだった。
何だか、私、彼に見惚れてばかり、かも…。
それに気付き、赤くなる自分が恥ずかしくて私も四つ葉を探すフリをする。
そんな私の前に、小さな四つ葉が差し出された。