ココア
これしかなくて悪いけど、と毛布を出してきてくれた。
ソファに横になって、毛布にくるまる。
西原くんは寝袋を引っ張りだしてきて、その中にすっぽりと収まった。
「電気、消すよ」
「うん、おやすみ」
「おやすみ」
一緒に眠る夜は二回目。
分かったことがある、西原くんの寝付きが良すぎること。
もう、規則正しい寝息が聞こえてくる。
私は─。
この状況で、そんなに簡単に寝られる訳がない。
少し体を起こすと、西原くんの寝顔が見える。
─きゅぅぅ─
また、胸の奥が音を立てて泣いた。
愛しさを、
恋しさを、
今は抑えることが出来ない。
せめて、言葉になって零れ落ちないようにグッと唇を噛んだ。