ココア



これしかなくて悪いけど、と毛布を出してきてくれた。


ソファに横になって、毛布にくるまる。


西原くんは寝袋を引っ張りだしてきて、その中にすっぽりと収まった。


「電気、消すよ」

「うん、おやすみ」

「おやすみ」


一緒に眠る夜は二回目。

分かったことがある、西原くんの寝付きが良すぎること。

もう、規則正しい寝息が聞こえてくる。


私は─。

この状況で、そんなに簡単に寝られる訳がない。


少し体を起こすと、西原くんの寝顔が見える。


─きゅぅぅ─


また、胸の奥が音を立てて泣いた。



愛しさを、

恋しさを、

今は抑えることが出来ない。

せめて、言葉になって零れ落ちないようにグッと唇を噛んだ。



< 230 / 247 >

この作品をシェア

pagetop