ココア
開けたままの窓から、時折雪が吹き込んでくる。
少し積もり始めているようで、外の世界がうっすらと白い。
でも、大粒のこの雪の感じだと、陽が出たらきっとすぐに溶けてしまうだろう。
このままでいたいのに。
真っ白いままで、彼と。
そんなことをぼんやりと考えながら、ただ彼を抱き締めていた。
頬に当たる彼の髪さえも、愛しくて愛しくて。
唇をそっと押し当ててみたら、愛しさと切なさが体いっぱいに広がった。
どれくらい二人、こうしていたのだろう。
彼が体を起こして、そのまま床にペタリと座り込んだ。
私もそれに倣う形で、体を起こした。
彼の細く綺麗な指が、私の頭をくしゃりと撫でる。
指の感触が私の感情を激しく揺らして困ってしまう。
「ありがとな。今夜、倉野が居てくれて良かった」
気づいたら、ホロリと涙が頬をつたっていた。