ココア
「さすが“シンユー”だな」
「もう!すぐ茶化すんだから」
「怒んなよ」
笑いながらも、少し真面目に話し出す。
「最初はさ、親友なんて無理だと思った。ましてや男と女だし。親友なんて欲しいとも思ったことなかった」
そう、西原くんは親友が一人もいらない、諦めてる、といった感じだった。
あんなにも友達に囲まれていたのに。
「でもさ、倉野に親友になる、て言われて。それもアリなのかな、て思った」
【私、西原くんの親友になるよ】
あれ、私の一世一代の告白だったんだけどな─
「今はだいぶ…、いや、ほんとに頼りにしてる。信頼してる」
一世一代の告白は、少しずつ実ってきてるのかな、親友という名の実が。
「ほんとに、今夜、倉野と居られて良かったよ。明日から、一歩踏み出せる」
「うん」
「いいんだよな?」
「何が?」
「陽子を好きでいても。忘れなくても」
彼の真剣な想いが、痛い程伝わってくる。
「うん、いいんだよ」
私は迷わず答えていた。