ココア



「あげる」


「…え、あの…」


「これはきっと、キミが持ってる方がいいと思うんだ」


「……?」


「どうしても見つけたかった、でしょ?」


「…え…?」


「じゃないと、後ろに人が立つのが分からないくらい夢中で探さないっしょ」


そう言って、その小さな四つ葉を私の手に握らせた。


さっき見惚れていた彼のキレイな指が、私の手に触れる。


彼の手は冷たいのに、優しくて。


その冷たい掌から伝わる優しさに、きゅぅっと胸の奥が鳴った気がした。


「きっと、その四つ葉がさ、キミの幸せのキッカケになるよ」



胸を…

いや、カラダごとキツく掴まれた気がした。


私が探していた“キッカケ”という言葉を、彼が口にした途端に。



私の中に、小さな想いが生まれた瞬間だったのかもしれない。






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