ココア
顔も広く、友達の多い恵美の回りにはすぐに人が集まる。
「倉野さん、久しぶり~。元気だった?」
取って付けたように私にも声がかかる。
そんな風に思ってしまう私は、ひねくれ者なんだろうか。
「倉野!」
渡部くんに声をかけられた。
渡部くんは西原くんの一番の友達(これは私が思ってることだけど)
この3、4年。
西原くんは渡部くんとしか会っていなかったらしい。
陽子さんの話も、渡部くんだけが、少し知っていただけだ。
「西原、今日来るんだって?」
「うん、そうみたい」
「もう、30分以上遅れてるけどな」
仕方ないな、といった顔で渡部くんは笑った。
「おーっ!みんな、久しぶり」
「西原!!」
わっと西原くんのまわりに人が集まってゆく。
みんなに囲まれて笑ってる彼、親友がいないだなんて思ったことなかった。
【親友】
私の中に、ちょっとした優越感が芽生える。
その時、ちょこんと西原くんの後ろから、見たことがない女の子が顔を覗かせた。