ココア
彼女を見た瞬間、胸がザワついた。
何かを感じたんだろうか。
「西原、何だよ、彼女連れで登場かよ」
「いやいや、職場の同僚だって。どうしても行きたいっつーから」
「へぇ。カワイイね。名前、何て言うの?」
「内田です。内田菜々子」
「菜々子ちゃんか、カワイイ~」
「もう、いいだろ。顔見せしたんだから」
「直くん、イジワル~。もうちょっと位いいじゃない」
「西原、直くんなんて呼ばれてんだ」
みんなのはしゃぐ声がやけに耳障りだった。
「麻梨、気にしない方がいいと思うよ。西原、あの子、多分タイプじゃないよ」
「ありがとう、メグ。気にしたってしょうがないもん、大丈夫だよ」
「おー、倉野!葛城!」
名前を呼びながら、西原くんが近づいてくる。
その後ろをチョコチョコと、内田菜々子が付いて来た。
反射的に身構えてしまう。
そんな私を、彼女、内田菜々子は何か気づいたようだった。