ココア



それから─。



私は常に彼の姿を探していた。


“お礼を言わなくちゃ”


なんて自分に言い訳をしていたけれど、ただ単純に会いたかったんだと思う。


何度か彼を見かける機会があった。


でも、彼の回りにはいつもたくさんの友達がいて、その中で彼は楽しそうに笑っている。


すれ違った時、彼が声をかけてくれるのを期待してたけれど、そのまま通り過ぎていった。


忘れて‥‥しまったんだろうな、きっと


ほんの一時、一緒に四つ葉を探しただけなのだから、忘れられても仕方ないのかもしれない。



『でも、私はきっと一生忘れないよ

小さな幸せのキッカケと、優しい掌を』


胸の中でだけ、そっと呟いた。





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