ココア
恵美や西原くんの回りは、常に友達の笑顔で溢れている。
おかげで私も随分友達が増えた。
といっても、みんなの輪の端っこにちょこんといるような感じだったけれど。
西原くんは、やっぱり私のことを覚えてないみたいだった。
でも。
西原くんの友達になれただけで、私の毎日はキラキラと光を放っていた。
色のない、一人だったこの高校という世界が、彼の存在でどんどん色付いていく。
私って、こんなに笑う子だったっけ…?
そう、自分でツッコミたくなるほどに、私は毎日笑っていた。
笑い合っていた。
「倉野!」
西原くんにそう呼ばれるだけで、幸せな気持ちがココロに満ちていくのが分かる。
片想い─
だけど、彼の友達でいられるのなら、繋がりを持っていられるのなら、本当にそれで良かった。