ココア
本当は言いたかった。
今も大切に持っている、四つ葉のクローバーを見せたかった。
“西原くんのおかげで、前に進めたんだよ”
…って。
“初めて会ったあの日から、西原くんが好きだったんだよ”
…って。
でも、言えないまま。
そうして、時が過ぎる。
みんなそれぞれに、同じ時間が過ぎる。
それなのに─。
オトナと言われる年になった今も、私はちっとも変わってないのかもしれない。
不安や焦り、自己嫌悪で潰されそうな時。
彼の存在が、あの時の彼の掌が、ずっと私を支え続けてくれていた。
そう。
26歳になる今も─。