ココア
26歳のキミ
「倉野さん、休憩入っていいよ」
「はい」
ロッカーに寄って財布とケータイを持って、社員食堂へと歩く。
歩きながら、ケータイを開き、そこにあった着信の文字。
【西原くん】
…ん?
─んん!?
着信のあった時間を見ると、30分前。
私は急いでかけ直した。
「もしもし」
「西原くん、あの、電話くれた?」
「おお~、倉野!ああ、お前の声、ほんと力抜けるわ」
屈託のない声で笑う。
自然と笑顔になる自分に気づき、西原くんに名前を呼ばれることが嬉しいことなんだ、て再確認する。
「どうしたの?」
「西原直樹、無事に帰って参りました」
「え、あ!おかえり―!!良かった~、元気そうで」
「報告、っつうか、色々話したいし、飲みにでも行かないかな、てね」
「あ、ああ。みんなで?」
「や。二人で」
まるで何でもない風に、西原くんはサクッと言った。