ココア
「俺はいつでも大丈夫だから。倉野の都合のいい時でいいよ」
「─あ、じゃ、明後日の月曜日は?私、次の日休みだし。や、泊まりで飲もうってわけじゃないんだけど…、あ―、んんん」
「ははは、何慌ててんだよ。いいよ、月曜日ね。楽しみにしてるよ」
『仕事中悪かったな』そう付け加えて、彼は電話を切った。
ずるずると思わずその場でしゃがみ込んでしまった。
まだ強く握っていたケータイのデータフォルダを開く。
どんどんスクロールさせて、ある一枚の写メを拡大する。
何人かで楽しそうに笑ってる。
その中に私と西原くんもいる。
西原くんに最後に会った日の写メ、だ。
そこには23歳の私たちが、笑ってる。
西原くんの隣で、私は幸せそうな顔をしていた。
とても、とても、幸せそうな顔を。