ココア



「俺はいつでも大丈夫だから。倉野の都合のいい時でいいよ」


「─あ、じゃ、明後日の月曜日は?私、次の日休みだし。や、泊まりで飲もうってわけじゃないんだけど…、あ―、んんん」


「ははは、何慌ててんだよ。いいよ、月曜日ね。楽しみにしてるよ」


『仕事中悪かったな』そう付け加えて、彼は電話を切った。


ずるずると思わずその場でしゃがみ込んでしまった。


まだ強く握っていたケータイのデータフォルダを開く。


どんどんスクロールさせて、ある一枚の写メを拡大する。


何人かで楽しそうに笑ってる。


その中に私と西原くんもいる。


西原くんに最後に会った日の写メ、だ。


そこには23歳の私たちが、笑ってる。


西原くんの隣で、私は幸せそうな顔をしていた。

とても、とても、幸せそうな顔を。






< 33 / 247 >

この作品をシェア

pagetop