ココア



最後に彼と会った日は、仲間内の一人の結婚式。


若い夫婦の幸せそうな姿を、みんなで冷やかしつつ暖かくお祝いした日だ。


西原くんは、披露宴でも二次会でも飲みまくっていて、よく笑っていた気がする。


私はお酒が入ってる時の西原くんが好きだった。


お酒を飲むといつもより饒舌になり、いろんな話をしてくれる。


細い柔らかそうな髪を触れられそうなほど近くで、そんな西原くんの話を聞くのが大好きだった。


その日も、偶然隣に座った時、私の目を見ながら色んな話をしてくれていた。



「お前、彼氏いるんだっけ?」

「うん」

「付き合ってどれくらい?」

「半年くらい…かな」


彼がそういう話をするのは珍しい。


だから、いつもよりずっとドキドキしたのを覚えている。





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