ココア
電話の向こうで、恵美がびっくりしてるのが受話器越しに伝わってくる。
「ほんとに西原から誘ったんだね、なんか意外だわ」
「うん。私もびっくりだよ。二人で会うの初めてだしね」
「嬉しそうだね、純粋に楽しんできなよ」
“純粋に”
恵美は、きっと私が期待しすぎて、傷つくのを心配してるんだろう。
恵美の優しさが伝わって、じんわりと胸が暖かくなった。
「うん。ありがとね、メグ。大丈夫、もう大人だもん、その辺は分かってるよ」
「そだね。ね、麻梨」
「ん?」
「私はあんたの味方だからね。西原がなんかしたら、私がフルボッコにしちゃうから」
「‥‥‥ありがとう、メグ」
約束の月曜日は明日。
─ずっと会いたいと願っていた、26歳の西原くんに会える─
待ちきれないような、少し怖いような、そんな感情が私を覆っていた。