ココア
贔屓目なしに見て、西原くんはカッコいい、んだと思う。
本人は背が高くないことを気にしていたけれど。
それに比べて私は──
自信なんて、まるでなかった。
急に、今日の気合いの入ったカッコが恥ずかしく思えてきた。
目の前の、オトナの男の人になった西原くんに戸惑いさえ感じそうになる。
「すいませーん、中生二つ!」
「ちょ!私にも何飲むか聞いてよ―」
「じゃ、何飲むの?」
「……中ジョッキだけどさ」
「ははは、ホラ合ってんじゃん」
笑うと一気に子供っぽくなる彼の笑顔に、心の奥が音を立てる。
おかしそうに笑う西原くんは、やっぱり西原くんで。
私がずっと知ってる西原くんで。
そんな大好きだった西原くんが、目の前にいることに、私は泣きそうになるほど胸が詰まった。