ココア
「飯も案外ウマイんだよ。言葉分かんないんだけど、意外となんとかなっちゃうもんなんだよな」
そう言ってほんとに楽しそうに笑う西原くんは、なんだかキラキラしていた。
この旅がきっと、彼を確実に大きくした、てことが私にも伝わってくる。
「でさ。具合悪くなっちゃって。ま、多分風邪かなんかだと思うんだけど。やっぱ知らない土地、しかも外国で具合悪くなったりすると、不安になんだよな」
「大丈夫だったの?」
「不安だから人恋しいっていうか。寂しかったのかな、誰かの声が聞きたくなってさ」
‥‥え‥?
「で、なんか知らないけど倉野の顔が─浮かんだんだよな」
彼の言葉に、目の奥が熱くなっていく感覚がして焦る。
「で、お前に電話したんだ」
そう言って、真っ直ぐな目で私を見た。