ココア



彼の思いがけない言葉に私の心は大きく揺れる。


膨れ上がった切ない気持ちが、一気に溢れ出しそうになるのを必死にせき止めた。



「ま、具合悪かったから判断力が低下してお前に電話したのかもな」


「あ、それヒドーい」


茶化すように笑う西原くんに、胸の高鳴りがどうか聞こえませんように…



「頭痛と吐き気で大変だったんだぞ。そんな中、お前に電話したんだから喜べ」


「他の人にもかけたんでしょ?」


「かけてないよ」


「みんな電話出られなかったから、私のとこにかけてきたんじゃない?」


「や。だから、お前にしか電話かけてないんだって」


「そう、なんだ」


  胸が…苦しい


  きっと、また私─


「電話代だって、バカになんねえんだぞ?国際電話ってやつ」


西原くんが、なんだか
スゴくスゴく
近くに感じられる気がして──


暖かいような、切ないような、そんな表現出来ない気持ちが私の心を覆っていた。





< 47 / 247 >

この作品をシェア

pagetop