ココア
彼の思いがけない言葉に私の心は大きく揺れる。
膨れ上がった切ない気持ちが、一気に溢れ出しそうになるのを必死にせき止めた。
「ま、具合悪かったから判断力が低下してお前に電話したのかもな」
「あ、それヒドーい」
茶化すように笑う西原くんに、胸の高鳴りがどうか聞こえませんように…
「頭痛と吐き気で大変だったんだぞ。そんな中、お前に電話したんだから喜べ」
「他の人にもかけたんでしょ?」
「かけてないよ」
「みんな電話出られなかったから、私のとこにかけてきたんじゃない?」
「や。だから、お前にしか電話かけてないんだって」
「そう、なんだ」
胸が…苦しい
きっと、また私─
「電話代だって、バカになんねえんだぞ?国際電話ってやつ」
西原くんが、なんだか
スゴくスゴく
近くに感じられる気がして──
暖かいような、切ないような、そんな表現出来ない気持ちが私の心を覆っていた。