ココア
足を庇って変な風に歩いてしまったのか、足を挫いてしまったみたいだった。
「どうした?足、捻った?」
さっきの花壇にまた座り、ヒールを脱いでみる。
捻ったらしいところがズキズキしていた。
「ほれ」
「ちょ─!西原くん何してるの?」
私の前に背中を見せて屈み、手を向けてる。
「何って、おんぶ」
「い、いいよ、大丈夫だよ。歩けるって」
「つべこべ言わずにおぶされって。ほれ、早くしろ」
西原くんに何度も促され、躊躇しつつも彼の背中におぶさった。
駅へ向かう人波の中、私達は目立っていた。
あからさまに振り返って見てる人もいるくらい。
恥ずかしくて、彼の背中に顔を埋める。
でも。
こんなにも鼓動が早いのは、恥ずかしさのせいだけじゃない。
それは自分でも分かっていた。