ココア



人の視線が気になり、西原くんの背中で縮こまる。


「ね、いいよ。大丈夫だから。重いでしょ?」


「確かに重いな」


「そ、そんな重い!?ごめん、下ろして」


「ははは、気にすんなよ。お前くらいおぶえるからさ」


「でも、みんな見てるし…」


「だから気にすんな、って。タクシー乗り場までなんだしさ」


「タクシー?電車で帰れるよ」


慌てる私に西原くんはあくまでノンキに答える。


「いーの。俺がタクシーで帰りたいんだから」


─嘘。 さっき終電気にしてたくせに


相変わらず、優しい西原くん。



勘違い、しちゃうよ


また‥‥‥好きになっちゃうよ





< 52 / 247 >

この作品をシェア

pagetop