ココア
人の視線が気になり、西原くんの背中で縮こまる。
「ね、いいよ。大丈夫だから。重いでしょ?」
「確かに重いな」
「そ、そんな重い!?ごめん、下ろして」
「ははは、気にすんなよ。お前くらいおぶえるからさ」
「でも、みんな見てるし…」
「だから気にすんな、って。タクシー乗り場までなんだしさ」
「タクシー?電車で帰れるよ」
慌てる私に西原くんはあくまでノンキに答える。
「いーの。俺がタクシーで帰りたいんだから」
─嘘。 さっき終電気にしてたくせに
相変わらず、優しい西原くん。
勘違い、しちゃうよ
また‥‥‥好きになっちゃうよ