ココア
部屋に戻り、冷蔵庫から出した氷をビニール袋に入れ、痛む足に押し付けた。
明日が休みで良かった。
この足だとキツいだろうから。
靴擦れに、捻挫。
でも、そのおかげで西原くんの背中の優しさと逞しさを知ることが出来た。
だとしたら、この痛みも満更でもないのかもしれない。
靴擦れに絆創膏を貼りながら、そんなことを思った。
ふと、テーブルの上に置いたケータイに目をやると、メールが来たことを青い光が教えていた。
ケータイの画面に映る【西原くん】の文字に、ドクンと私の奥が揺れる。
『今日、ありがとな。また飲みに行こうな、絶対誘え。つか、誘うぞ。
あ。足、冷やしとけよ。倉野、ポーッとしてるからな。何度も言っとかないと。
じゃ、またな』
砂地に水が染み込むように─
そんな風に西原くんの優しさが、私にゆっくりとゆっくりと染み込んでいった。