ココア
「倉野さん、彼氏出来ました?」
冷蔵室で在庫チェックをしていると、後ろから声をかけられた。
大学生のアルバイト、宮村くんだった。
「何、急に」
あからさまに素っ気なく答える私に気を悪くした風もなく、宮村くんはそのまま話し続ける。
「いや~、なんか雰囲気変わった気するから」
「そう、かな?」
「俺、そういうの分かっちゃうんスよ」
ピタ、とチェックするボールペンの動きを止める。
雰囲気変わった、で西原くんの顔を思い浮かべたから。
「あ!ほら、今カレのこと思い出したでしょ」
イチイチ鋭い宮村くんの言葉に少し動揺してる自分が恥ずかしい。
さっきの休憩時間に、西原くんから飲みの誘いのメールが来ていたから余計そう思った。