ココア



その後、佐久間さんと二人でもう一軒行くことになった。



今まで、まるで避けてるかのように誘いをかわしてばかりだったお詫びの意味もあった。



「麻梨ちゃん、次、何飲む?」


「んー、じゃ梅酒ロックで」


佐久間さんは、職場にいる時以外は、私のことを“麻梨ちゃん”と呼ぶ。


「俺もそれにしよ」


「佐久間さん、ちょっと飲み過ぎじゃないですか?そろそろ烏龍茶の方が」


「いーの。今日は気分いいから」


人懐っこい笑顔を、さらにくしゃくしゃに崩して笑う佐久間さんを、年上だけどカワイイと思ってしまう。


あまりお酒が強くないのに、付き合ってくれる優しさも好き──。


そう。

佐久間さんの優しさを、私はずっとずっと分かっていた。





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