ココア



遮った声は、いつもの佐久間さんの色を失くしていた。


「…待って。その先、言わないで欲しいんだ」


またしても行き先をなくしてしまった私の言葉は、急速に萎んでいく。



「ごめん。自分から言ったことなんだけど、今の忘れて。ごめん…」

いつもの佐久間さんからは、想像出来ないような弱々しい声で呟く。

そんな佐久間さんを見ていて、心が圧迫されていくように苦しくなった。



なぜこんなにも、苦しくなるのか─



それは、まるで自分を見ているようだったから、だろう。



そして、佐久間さんはまだグラスに半分以上残っていた梅酒のグラスを、一気に飲み干した。



>「情けないよなあ、俺」


両肘をつき、俯く佐久間さんのその姿は、私の心をゆっくり圧迫していった。





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