ココア



いつでも、どんなことも



それは、今までの私たちに戻れるような、そんな言葉。


佐久間さんの優しさが、胸にじんわりと広がる。



「ありがと。佐久間さん」



「じゃぁ、仲直り、な」


ケンカしてたわけじゃないんだけど、と言おうとして止めた。


佐久間さんの笑顔が、あまりにも優しいから。


コン、と音を立ててテーブルの上に缶コーヒーを置いてくれる。


二人の仲直りの印、だった。











「うわ、寒っ」


職場の通用口を出ると、10月末の冷たい風が吹き付けてくる。


薄着で来てしまったことを軽く後悔しながら、カバンからケータイを取り出した。


今まではそんなにケータイを気にしなかったのに、今ではほぼ習慣になっている。


あれ?留守電─?



伝言が残っていることを知らせる光が点滅していた。





< 77 / 247 >

この作品をシェア

pagetop